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Vermillion 朱き強弓のエトランジェ

Amagi Chiaki

DEMONDAL ―硬派すぎるゲームシステムの北欧産VRMMO。スキルもレベルもインベントリも便利なギルドも存在しない、その無駄なリアリティは最早VR生活シミュレータ。そんなゲーム内で、廃人プレイヤーかつ騎射の達人として知られる主人公・ケイは、ある日相棒のロシアンNINJAと共にゲームそっくりの世界に転移する。元々リアルだった世界は、正真正銘の”現実”へ。転移の真相を探る二人は、知らず知らずのうちに世界の暗部へと踏み込んでいく。これは、生きる意味を再び手にした青年が、愛する人と彷徨い旅する物語。

参考資料 :タアフ~ユーリア

私が小説を執筆する上で、参考にした写真(私が撮ったモノ)です。

主に武器や城塞、風景などがメインになると思います。本作を読まれる上でイメージを膨らませるのにご活用ください。

サーベル

ケイ&アイリーンが使っているサーベルのイメージです。

金属製の、刃が引かれていない観賞目的の一振りでしたが、実際に手に持ってみると刀身が細い割にずっしりと重かったです。

ちなみに よく切れる刀剣と言えば日本刀 というイメージが先行しがちですが、実際のところ西洋のサーベルも切れ味はかなり鋭かったようです。

金属製のシャンデリア

アンティーク市場で なるほど! と思わされた一品。

船を象った意匠の、金属製のシャンデリアです。両側に燭台になる部分があります。

シャンデリア と聞いてしまうと、どうしてもガラス製のきらきらとした物をイメージしがちですが、言われてみれば裕福な庶民向けにこういった商品も存在したはずですよね。

このシャンデリアはアンティークなので、古くから実際に人々の生活に使われてきたのかと思うと、なかなか感慨深いものがあります。

ベネットら、村長の家の居間に下がっているのは、これの樹木の意匠バージョンとお考えください。

サティナ・城郭のイメージ

フランス南部、エグモルトという名前の城郭都市の城壁です。

サティナの街の城壁は、これをイメージしております。圧倒的重量感。実用性重視で無骨なところがそそられますね。

サティナ・城門正面のイメージ

同じくエグモルトの城門から。サティナの街の門のイメージはこんな感じです。

右下で壁と格闘している筆者の姿をご覧頂ければ、壁のデカさが伝わりやすいかと。これ攻めろって言われたら正直絶望感が……

サティナの街・城門裏のイメージ

正門を裏側から見るとこんな感じです。ちなみに街の四方にこういった門が一か所ずつあります。

門は二重構造となっており、外側の扉に加えて内側には落とし格子があります。例え最初の門が突破されても中には容易く踏み込めない構造で、敵を足止めしている間に上から煮えた油やら何やらが降り注いできます。

サティナの街並みのイメージ

城壁の上から。奥に見えるのは海ではなく運河です。

ヨーロッパはこういった古い町並みが今もそのまま残っているので、その点羨ましいですね。

サティナの街並みのイメージ2

ついでにもう一枚、パシャリ。

シュナペイア湖と神殿のイメージ

スロベニアのブレッド湖より。

作中のシュナペイア湖と、湖の真ん中にある小島の精霊の神殿は、ここからインスパイアしたものです。

湖の神殿のイメージ

湖の上、手漕ぎボートから小島を撮った一枚です。小島にはキリスト教の教会があります。作中の神殿のイメージはこんな感じ

湖の神殿・入口の階段のイメージ

ボートで接岸できる、小島の入り口の写真です。

岩山の上の領主の城その1

同じく、スロベニアのブレッド湖から。作中のユーリアの城は、こんなイメージです。

岩山の上の領主の城その2

別角度より、もう一枚。

ユーリアの町のイメージ

↑の城から撮った一枚。作中のユーリアの、周囲のイメージはこんな感じです。ただ、山はもうちょっと大きくて、遠くにある感じかな?

森の小道

岩山の上の城まで行く途中の道。作中では特に登場しませんが、雰囲気が良かったので、ここに載せます。

参考資料 :ウルヴァーン~

ウルヴァーンの街並み

イタリア中央部の町、オルヴィエートより。

比較的背の高い建物が台地に密集している、という点で、非常にウルヴァーンっぽい町です。

写真では台地であることが分かり辛いと思いますが、街並みのイメージを掴んで頂ければ幸いです。

ウルヴァーンの街並みその2

同じくオルヴィエートより。

歴史ある建物がガッツリ密集してるのは、何と言うか浪漫です。

ちなみにこの2枚の写真は、町で一番高い時計塔の上から撮影しました。

ウルヴァーン城壁イメージその1

フランス南部の町、カルカッソンヌより。

要塞都市……城塞都市? の遠景写真です。

ライトアップが圧巻ですが、ウルヴァーンはこれを何倍にも大きくしたイメージでしょうか。

山の上にそびえ立っているのでかなり高い位置にあります。

ウルヴァーン城壁イメージその2

外縁部の城壁の内側より。左手側から十メートルくらい下が地面になります。こんなもんどうやって攻めろと……

ウルヴァーン城壁イメージその3

城壁の内側にあるお城です。堀と橋でさらに防御力がUP。今は菜園になってるようですが。

注目すべきは画面真ん中の塔ですね。木材で物見櫓の部分が再現されています。城壁のポツポツと開いている穴は、銃眼ではなく櫓を組むための支点として機能していたことが分かります。

ウルヴァーン城壁イメージその4

塔の上から見下ろす写真。

ウルヴァーン城壁イメージその5

丘の下側より一枚。

とある木立のイメージ

特に名前があるわけでもない、ただの木立。

馬鎧

北の大地編、護衛戦士の重装騎兵のイメージです。

作中では写真のような板金鎧ではなく、鱗鎧(スケイルメイル)で防御している設定なので見かけはかなり違いますが……あくまでイメージということでひとつ。

頂き物 :イラストコーナー

ちょっとネタバレ感もあるので、ご注意ください!

一狩り行こうぜ!?

アイリーン服装

ケイ&アイリーン

“死神”

木靴

Runner in the Dusk

モリセット隊の皆さん


0. DEMONDAL

なだらかな起伏が続く、緑の草原。

抜けるような青空にはふわふわと羊雲が浮き、涼やかな風が吹き抜ける。

そんな牧歌的な風景の中に、しかし、場違いに荒々しく駆ける騎馬の姿があった。

その数、十騎。

突出して駆ける二騎に、それを追う八騎。

先行する二騎は、同じ革のマントを羽織り、同種と思しき褐色の馬に乗っていた。

片方だけはパンパンに膨れた重たそうな革袋を鞍にくくりつけていたが、おおよそ二人とも装備は統一されているようだ。

それに対して、残りの八人の見てくれは酷い。

馬の種類は雑多。

装備は革鎧、ボロ布、もしくは半裸。

武器も簡素な弓や骨製の槍、錆びついた剣といった、お粗末なものばかり。

てんでばらばらな構成だ。両の目を欲望の光にぎらつかせている、という点においては、八人とも似通っていたが―。

逃げる側と追う側の構図。

両者の距離は、刻一刻と縮まっていく。

逃がすな、追えーっ!

やっちまえッ!

回り込めーッ!

追う側の八騎が、手にした得物を振り上げ、口汚く叫び声を上げた。

スラング混じりの汚い英語。たまに、下品な罵声が混じる。

装備と品性の両面でまさしく、『追剥』や『荒くれ者』といった言葉がお似合いの連中だが、そんな粗野な様子とは裏腹に、騎馬の連携には見事なものがあった。

逃げる側の二騎を追い立てるようにして、八騎はそれぞれ扇状に展開。

騎馬同士の距離を一定に保ち、またたく間に半包囲網を形成した。

射かけろッ!

中央を駆ける、比較的まともな革鎧の装備の男が―どうやら追剥たちの頭目らしい―槍を振り上げて叫ぶ。

その声を受けて、両翼に展開していた四人の射手が、簡素な短弓に矢をつがえた。

FUCK YOU(死にさらせ)!!!

右翼、顔面に刺青を入れた射手の男が叫ぶ。

それを合図に、残りの三人も弓を引き絞り、一斉に矢を放った。

矢羽が立てる細い風切音。

それを耳にして、ちらっと後ろを振り返った二騎は一瞬でその軌道を見切り、巧みな手綱さばきで次々と矢を回避する。

追剥の弓の腕と、逃げる騎手の手綱さばき。その技量の差が如実に表れていた。

二騎の標的は無傷のままに、矢だけがいたずらに消費されていく。

……チッ。右のを狙え!

頭目は舌打ちし、部下たちに指示を飛ばす。たちまち、狙いが右側の一騎に集中した。

元々、右側の騎馬は鞍に大きな革袋を括りつけており、左に比べて動きが鈍い。集中砲火を浴びた騎手は果敢に回避を試みるも、苛烈さを増した弾幕には抗しきれず、ついに乗騎が矢を受けてしまう。

!!

尻に矢が刺さった馬は、いななきを上げ派手に転倒。

鞍の革袋が開き、青い液体が詰まった瓶がばらばらと地面に零れ落ちる。

肝心の騎手は直前に鞍から飛び降りたらしく、草原に身を投げ出して受け身を取ったのか、ほぼ無傷であった。

一騎墜ちたぞォ!

ヒャッハー殺せェ!

が、そこに、猛スピードで馬を駆る無法者たちが迫る。

ハッハハハ、死ねえッ!

追剥の頭目は残虐な笑みを浮かべ、地面に這いつくばる獲物に向け真っ直ぐに槍を突き出した。

鋭い槍の穂先が、ぎらりと凶悪な光を放つ。

迫る凶刃。

飛び起きた騎手はマントを翻し、一目散に逃げ始めた。

それを見て、馬鹿め、と頭目はせせら笑う。

成る程、確かにその足の速さには、目を見張るものがある。

だが、所詮は徒歩(かち)、スピードの乗った馬に対抗できるようなものではない。

あっという間に距離を詰めた頭目は、逃走する獲物の無防備な背中に、容赦なく槍を突き込んだ。

研ぎ澄まされた槍の穂先は、呆気なく革製のマントをとらえ、突き刺さる。

しかし―軽い。軽すぎる。

手応えのない槍に、風に吹かれたマントがまとわりつく。

空振った、と理解した。

その瞬間、頭目の乗騎は鋭いいななき声を上げ、がくんと前につんのめる。

転倒。

たまらず鞍から放り出され、そのまま草原の大地に背中から叩き付けられた。

ぐえっ

しこたま背中を打った衝撃で、蛙のような声が出る。


その拍子に槍を取り落としてしまったが、頭目はそれに構わず素早く立ち上がり、腰の鞘から長剣を引き抜いた。

見れば、自分の乗騎が、左前脚を斬り飛ばされてもがき苦しんでいる。

そしてその傍らに―黒い影。

敵の正体を視界に収めた頭目の目が、驚愕にカッと見開かれた。

おッ、お前はッ!

動揺する頭目をよそに、黒い影は黙したまま、半身にサーベルを構える。ただ、その青い瞳を、すっと細めて。

それは、金髪碧眼の少年だった。

女と見紛うばかりに小柄な体躯、精悍な顔立ちに鋭い目つき。

長く伸ばした金髪は、邪魔にならぬよう後頭部で束ねてある。

右手に何の変哲もないシンプルなサーベルを構える少年だったが―その装いは、異様の一言。

黒づくめ。

頭部には黒鉄の額当て。口元を覆い隠す黒のマフラー。

全身を包むのはぴったりとした布製の黒衣で、手足には黒革の籠手と脛当て。

腰の帯には黒塗りのダガーを差し、極め付けに背中には、黒塗りのサーベルの鞘を背負っていた。

その姿は、まさしく―

―“NINJA”!

頭目は呻くようにして叫ぶ。

“忍者”。

それも、純粋な日本製《メイド・イン・ジャパン》の”忍者”ではなく。

外国人が勝手にイメージを膨らませて創り出したような、何かちょっと間違えてる、“NINJA”。

“NINJA”! “NINJA”のアンドレイ!?

Holy Shit(なんてこった)!! 本物か!?

あの一瞬でマントを身代わりに……!

周囲の手下たちにも、動揺が広がる。

“NINJA”のアンドレイ。

彼は、この世界でも屈指の有名人だった。

その個性的すぎる見かけと―それでも、確かな実力から。

アンドレイという強敵の出現におののく手下をよそに、動揺の波が引いていち早く立ち直った頭目は、じりじりと全身の血が沸き立つのを感じた。

闘志。

強者に挑戦したい。

己の力を試したい。

そんな、純粋な欲求。

……アンタとは一度、戦ってみたいと思ってたんだ……!

驚愕の表情を、獰猛な笑みに染め直し。

すっ、と正眼にロングソードを構えた。

瞬間、アンドレイの姿が黒くブレる。

銀閃が横切った。

ぱすん、という衝撃。斬られた、とわかった。

は? と声を上げようとして、気付く。

声が出ない。

見れば、視界の端、己の首から赤い血しぶき(エフェクト)。

おそらく、『声帯』が破壊されたのだ。

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